私の意思は伝えた…
お兄ちゃんはー…?
ゆっくりと隣にいるお兄ちゃんを見上げると、手の平で目元を多い俯いていた。
「お兄ちゃん…」
初めて見るお兄ちゃんの姿に、どうしていいか戸惑う。
お兄ちゃんは嫌だったの?
真実を知るのがー…
お兄ちゃんの姿に、不安が過る。
「…俺はずっと、自分がおかしいと思って生きてきた」
手の平で目を覆ったまま、お兄ちゃんは静かに喋りだした。
「実の妹に恋愛感情を抱いてしまった自分は、ずっとおかしいと思っていた。けど、その想いはけして叶うことはない。もし叶ったとしても、俺は真優を幸せにするどころか、不幸にしてしまう。ずっと、そう思って生きてきた」
静かに喋るお兄ちゃんの身体が、震えている。
「けど今、写真の女の人を見て…山崎先生の話を聞いて、今まで抱いていた想いが覆るかもしれない。真優には辛いことかもしれないけど、俺は兄妹でないことを期待してしまっている」
…お兄ちゃん。
手の平で覆った目から、涙が流れ落ちているのが見えた。
「…っ」
そんなお兄ちゃんの姿を見て、目に涙が溢れくる。
お兄ちゃんが泣いている姿を見たのは、本当に久しぶりで心が苦しくなる。
痛いほど、お兄ちゃんの想いが伝わってくる。