ドクン、ドクン。

「な…何言ってるんですか…」

動揺してはいけないと思いながらも、目が泳ぎ、額が汗ばんでしまっているのがわかる。

ドクン、ドクン。


「お兄ちゃんを好きだなんて…」

【この想いは、誰にも知られてはいけない】

ドクン、ドクン。


「ありえない…」
「もういいんだよ、白石」


私の言葉に被せるように言った、山崎先生。

「え…」

もういいって…?



「俺は、お前を責めたりしない。だから俺の前では、自分を責めたりしなくていいんだよ。もう苦しいだろ?」

「っ!」


…どうして…山崎先生が…



「苦しくて、苦しくて堪らないだろ?一人で背負えないほどに」


どうして山崎先生が、私の気持ちを知っているの?



そう始めは思ったけど、今はもう何も考えられない。





「ふ…」



山崎先生の言葉に、止まったはずの涙がまた溢れ出て来た。