バタンー…
すぐ側で車のドアが閉まる音が聞こえ、人の足音が近づいてくる音が聞こえる。
「…白石?」
頭上から名前を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げるとー…
「どうした?何かされたのか!?」
血相を変えた山崎先生が、駆け寄ってきた。
「誰かに襲われたのか!?」
山崎先生はしゃがみ、顔を覗き込んでくる。
突然の山崎先生の登場に、驚いて涙が引っ込んだ。
「…山崎先生こそ、どうしてここに?」
「学校に連絡があったんだよ。うちの制服を着た生徒が、道端でうずくまって泣いてるって」
そう言いながら、山崎先生は落ち着きなくそわそわしている。
「で、どうしたんだ?あ…もし、俺に言いづらいことだったら女の先生を呼んで…」
山崎先生はポケットからスマホを取り出すと、どこかに電話を掛けようとする。
「え…ちょ…待って!」
スマホを持っている山崎先生の腕にしがみつき、電話を掛けるのを止めた。
「白石…?」
驚いた山崎先生は、きょとんとした顔をしている。
「あの…誰にも襲われてないし…ただ、うずくまってただけですから…」
山崎先生の腕にしがみついたまま、そう答えた。



