「あっ。皇兄の荷物だ!」 門の片隅には学校の制服が詰め込まれた皇楽のカバンと、 「皇にぃのとこのケーキだ」 バイト先のテイクアウト用の紙袋に入った売れ残りのケーキが置かれていた。 同じタイミングでサロンエプロンのポケットでバイブする携帯を取り出せば、 『バイト先にお家から大事な用で電話が入ったって天に聞きました。映画は今度にしようね』 絵那からのメールが届いていた。