「やっぱり高原が怒るから返すよ。ハイッ」 「んぐっっ」 こう言って絵那から貰ったクッキーを皇楽の口に無理矢理ねじ込み、 「授業始まる前にトイレ行ってくる」 カバンも置かずに天はまるで逃げ出すように教室から足早に出て行ってしまった。 そんな天のらしくない態度をただぼんやりと見つめていた絵那。 そしてクッキーをねじ込まれて軽く噎せる皇楽を、慶斗は斜め後ろから何やら言いたげな表情で交互に見つめていた。