愛のハンバーグ作りが始まってから十分。



「ただい……」



絵那とのにこやかで和やかなデートを終えて予定より早めに帰宅した皇楽は、



「なっ……」



何故か遊び場と化した我が聖地に思わず目が点になる。



「……おい」



キャッキャッと高い声をあげながらハンバーグ作りを楽しむ妹と弟……プラス見慣れたハニーブラウンに皇楽は聞いたこともないような低い声で呼び掛ける。



「あっ、高原おかえり~」



脂でツヤツヤした手を自分に向けて笑ってる天を見た途端、



「何やってんだよ」



さっきのデートで浮かべていた柔らかい微笑みとは打って変わって、眉間に深いシワを作り出していた。



「見てわかんない? ハンバーグ作ってんの」


「そこじゃねぇよっ。なんでおまえがここに居るんだっ」


「わたしが呼んだのっ。それで一緒に夕食作ってくれてるんだよ」



笑顔で答える藍楽は更に神経を逆なでしたのか、皇楽の眉間のシワを一層深くさせた。



どう見てもミンチ肉で遊んでるようにしか見えない三人に、



「揃いも揃って何やってんだっ! 生肉を何時までも素手で触ってんじゃねぇよっ」



いつの間にか袖を捲り上げた皇楽が割り込み勢い良くストップをかける。