「おまえ、ここでいつまでバイトする気だよっ」
例によって今日はカフェ バタフライ高三トリオが揃ってシフトに入っている日。
トイレでこっそりサロンエプロンに着替え終えた天に、ロッカーに荷物を突っ込んでいた皇楽が尋ねる。
「別にいいでしょっ。迷惑かけてないんだし」
ぷいっと顔を背けながら素っ気なく答えるガキんちょ丸出しの天に、皇楽も舌打ちして背中を向ける。
見てるだけで呆れてしまうようなやりとりに、
「皇楽は心配してるんだよ。高宮が女の子ってバレたりしないかって……ねっ、皇楽?」
助け舟と見せかけて火に油を注ぐ慶斗の一言。
「んなワケないだろっ。つーか、いっそバレろよ。そしたら嫌でも辞めんだろっ」
「うるさいなぁっ。絶対辞めてやんないからっ!」
案の定。
ヒートアップする低レベルな口喧嘩に諸悪の根源は小さくため息をつく。
そうこうしているうちにミーティングの時間になり、揃ってホールに向かっていく。

