後ろから「いってらっしゃい」と、穏やかな声が聞こえる。
早く葵に会いたい。
その想いが私を走らせる。
病院についた頃には汗が流れていた。
でもそんなことに構ってはいられない。
病院の中は走っちゃいけないから、早歩きで葵の病室までむかった。
ノックもせずにドアを勢いよくあける。
「葵っ!」
「え、ゆ、雪??」
喧嘩してからしばらく会ってなかったし、なんせこんなにうるさい登場の仕方。
驚くのも無理はない。
「私は、葵のそばにいたい。葵になんて言われても……」
言い終わる前に葵に抱きしめられていた。
「葵?」
「……った」



