『雪が』買ってきてくれたプリンを食べらるからだ。
それは今までで1番美味しいプリンだった。
雪がほんの少しだけ心を開いてくれた感じがして、俺は思わず遥と出会ったときのことを聞いてしまった。
雪の気持ちを考えずに。
「なにしてたの?」
「えんこー」
援助交際。
男の人と性行為をしてその代償にお金をもらう行為。
「やめろよ」
いつもみたいにいろいろ考える前に、その言葉が出ていた。
雪が1番言われたくないであろう言葉が、平然と。
「一瞬だけでも誰かに必要とされることで、心を安定させてるの、だから、やめろとか言われても聞かないから」
雪がそういった時、俺はやばいと思った。
見てはいけないものをみてしまったんだ。
ずっと隠し通したいであろう雪の過去を、少しだけ。



