「親御さんの連絡先を聞いてもいいかな」


「いない」


「え?」


「親、いないから」


援交をする人はする人なりの事情があることを知っているんだろう。


親のことはそれ以上聞かれなかった。


「じゃあ親戚とか親御さんの代わりになる人はいる?」


いない。


そう答えようとした途端、一人の顔が浮かんだ。


成人していて連絡先を知っている人といえば、一人しかいない。


遥さんだ。


連絡を無視している手前少し躊躇はするが、警察の人に電話番号を伝えた。



「すぐに来てくれるって」


その言葉通り、15分ほどで遥さんが交番の中に入ってきた。


「雪ちゃん!」