その顔を見た時、ひとつの説が思い浮かんだ。


確かテレビで見たことがある。


でも、自分の身に降りかかるなんて思ってなかった。


そんなのはテレビの中だけだと、
この先私は誰にも注意されることなく限界までこの生活を続けていくのだと、そう思い込んでいて。


だから、油断大敵なんて言葉があることも、忘れていたんだ。


「ごめんね。実は…」


男性はパーカーの内ポケットからあるものを取り出した。


あぁ、やっぱりそうなんだ。


「警察です」


私はため息をつきながら現実を受けいれた。


驚かなかった。


この世界に足を踏み入れてたくさんのことを経験してきたから、いつかこんなこともあるのかもしれないと想像していた。


「お話聞かせてくれるかな」


「はい」


とりあえず何も無かったようにカラオケ店から出た。


そして、ここから1番近い交番に連れていかれた。