この一言で、男性の顔色が変わったのが分かった。


「帰ってもいいですか…?」


これは、あまり良くない状況かもしれない。


「何言ってんの?」


低く押し殺した声。


さっきまでの朗らかな雰囲気はどこいったの?


どうしよう、にげなきゃ…。


「ごめんなさい!」


そう言って走り出そうとした瞬間、男性に腕を掴まれた。


え……。


「逃がすわけねーだろ」


このままだと連れていかれちゃう…。


今度こそ!


私は思いっきり男性の手を振りほどいた。


よし!


「おいっ!!」


後ろから怒鳴り声が聞こえた。