トラバキア城最上部…


一人の男が雲を眺めて


いた。


仰向けに寝そべって


両足を組、腕を頭の後ろへ

まわした格好で空を


見ているのだ。


《こりゃまた、なんとも


嫌な空だねぇ》


格段に変わった様子の


無い空を見上げ、そんな


事を呟いた。


《うむ…一雨…来るか》


そう言って目をつぶる。


風の匂い…


鳥のさえずり…


暖かい日差し…


心地よさで落ちそうに


なる…しかしそれも束の間

自分を呼ぶ声で目が


覚める。


《クロード様ぁ〜》


《ク〜ロ〜ド様ぁ〜〜》


《どぉ〜こ〜にぃ〜おら


れるのでぇ〜すぅかぁ〜》

かなりひつこく老人と


おぼしき声がクロード


たる人物を探して


いるようであった。