剱聖伝

荒んだ大地の上…


眠るように横たわる


男の前でスザクはしゃがん

でいる。


《旦那…寝てる場合じゃな

いぜ》


横になったまま動かない


男にスザクが近付き


話し掛けた。


だがその言葉にまるで反応

しない。


《…情けない。天剱聖とも

あろう男がこんな地べたで

寝るなんざ…》


スザクの寂しそうな瞳が


ハイゼルの顔を見つめる。

《後は…任せてゆっくり


眠りな…今度はあの世で会

おうぜ》


そう言って立ち上がる。


スザクらしい挨拶を済ます

と背を向けて歩きだした。

だがその背中に、


《そこには…わしはおらん

が…》


それを聞いたスザクが背を

向けたまま動かない。


《ケッ…さすがにしぶとい

ねぇ》


《それが…取り柄だからの

ぅ》


二人で顔を見合わせると


豪快に笑ったのだった。


《ここに居たのか》


そこへ満身創痍のセイラン

がやってきて、二人の前で

膝を着く。