その途端、辺りに膨大な邪

気が満ちた!!


近くに居た魔物や兵士達が

ドロリと溶け蒸発する。


《…これが貴様の正体だと

言うのか…》


バーミリオンが邪気を払い

ながら距離をとる。


《いかにも…我は魔界を統

べる深淵の魔王…サタンな

り。平伏せ蛮族ども》


サタン…神魔戦争に出て来

る悪魔。至高神との激闘の

末、深淵へと封じ込められ

たという。


《貴様があのサタンだと》

信じられぬといった面持ち

で目を細める。


《この日をどれだけ待ち侘

びた事か…そしてついにっ

!!ゲートが完全に開けば

カオスが世界を支配する


であろう!!》


《…シーリアを離せ》


いつもの無表情のまま、サ

タンの言葉を聞いていない

かの如く、抑揚のない声で

語る。


《…我を知り、逃げぬ勇気

は大したものだが、無謀と

勇気を履き違えるな小僧》

そのサタンの言葉も無視し

ながらシーリアの元へと


真っ直ぐ歩き出したのだっ

た。