剱聖伝

激しい爆音と共に、お互い

の技と技がぶつかり合うの

だった。一方、一足遅れて

ゲルロニアの天剱聖ハイゼ

ルが後方より戦況を慎重に

見定めながら様子を伺う。

辺りは魔物と人間の死体が

無数に転がっている。


《やはり魔物相手ではキツ

イか…》


圧倒的に不利だった。


トラバキアの兵士達も相当

に訓練されたエリートなの

だろうが、魔物との戦いに

不慣れなせいで厳しい戦い

を強いられていた。


だが、一番怖いのはあの男

…ベルゼの天剱聖。


先程から気を探っているが

、まるで気配を感じない。

《…ではこちらからおびき

出すしかないのぅ》


そう言って大斧を前に掲げ

る。


そのまま意識を集中させる

と今度は力いっぱい地面に

突き立てた。すると大地が

うねり、地形を変化させな

がらベルゼの本陣へと突き

進む。しばらく後、悲鳴と

怒号が聞こえてくる。


ハイゼルはもう一撃食らわ

せようと大斧を前に掲げた

が、今度は地面に突き立て

る事なく体制を固定したま

ま動こうとしない。いや、

正確にはできなかったのだ