《我が一族は代々神々の信

徒としてトラバキアの国


をそして民を守護する役目

を仰せ使ってきた。   

しかし今ではババとティア

の二人だけになってしもう

た…。先の戦争でお前の両

親も失った…これでティア

…お前にまでもしもの事が

あれば……》


優しさと寂しさが入り混じ

ったような表情がティアの

心を締め付けた。  


それでもファレストの末裔

として、国を…民を救いた

いとゆう思いが揺らぐ事は

ない。自分に出来る事があ

る…必ず…。


決意に満ちた瞳を老婆に向

ける。


《ババ様…ありがとう》


《私は必ず戻ってきます》

《そしたら…また…私の好

きなオニオンスープを作っ

てくださいね》


泣き出しそうな顔を無理矢

理笑顔に変えた。


《私…ババ様の……》


最後まで言えずババを抱き

しめた。小さな体が小刻み

に揺れている。ティア


は強く願う…また必ず生き

てこの場所に戻ると…。


ティアの行く末を見守る


かのように水芭蕉の華が、

月の光を浴びてひときわ美

しく咲いていた。