やまないのかと思われた雨

が、いつのまにか上がって

いた。それどころか陽射し

すら顔をのぞかせている。

大気に漂う死臭や硝煙も、

雨により落ち着いてはいる

が、決して争いが終わりを

向かえているわけではなか

った。


ベルゼ城門前、バーミリオ

ン率いる一万の兵が防壁


と化している。


それと対峙する形で立って

いる者達。


とてつもない緊迫感が漂っ

ている。


《やっと本陣のお出ましで

すか…》


その中の一人が口を開く。
    ジ
《随分と焦らしてくれるじ

ゃねぇか》


《スザク殿はかなり息があ

がっておるようだが!?》

綺麗に剃りあげられた頭を

掻きながら、大きな斧を


地面に突き立てた大男が


そう問い掛けると、


《けっ!!旦那こそ斧が


杖みたくなってるじゃねぇ

か》と、売り言葉に買い言

葉で返す男。赤髪は重力を

無視するかの如く天に伸び

、右目には額から頬にかけ

て斬られた傷のようなもの

が刻まれている。