剱聖伝

《ソリオン様っ!!敵の伏

兵によりネグリス、ソラン

、ゲルロニアは壊滅的打撃

を受けたとの報告でありま

す!!》


《やはり…罠が……》


《いかがなさいますか》


そう兵士に聞かれ、目を閉

じ考え込む。


この先に進めば罠がある…

だがベルゼ城へは中央を通

らねば辿り着けない。


ソリオンが指揮をとるうえ

で常に思う事がある。


それは部下の命を大切にす

る事…そして、それ以上に

戦いに勝つ事…。


勝ってこそ戦った意味とな

りえるのだ。そうでなけれ

ば死んでいった者は浮かば

れない。


だから…


ゆっくりと目を開く。


《兵の三分の一を正面より

突破させる。残りは一刻を

おいて左右より強制突破を

はかる!!》


その言葉を聞いた兵士の


顔が強張った。


《それはつまり…一陣の兵

を劣りにすると…》


部下の言葉に沈黙で答える




《ソリオン様…私には妻も

子もおりません…私は…そ

の一陣に志願します》


そう言い切った男は震えて

いた。