剱聖伝

明らかに今までとは違う。

まるで別人のよう。


《…ぁああ、これだから殺

し合いはたまんねぇ…》


恍惚の表情を浮かべた


ヨルムが唇を、嫌らしく


舐めた。


《起きろ、羅刹棍》


ヨルムが鉄棒に呼び掛ける

。すると棒が妖しく光り、

先端部分が大きく膨れ、


気味の悪い顔が現れたの


だ。その顔は意志を持つが

如く、セイランの肩にかじ

りついた。それをちらりと

一別すると、何も無かった

かのように目を閉じる。


《……我が聖界の御霊よ…

汝の在りし姿にて敵を滅っ

せよ》


 オロチ
《滅蛇の剣》


突然、背中のセイランの剣

がクネクネとうねり、敵の

羅刹棍に巻き付いた。


《なにっ!?》


予想だにしなかった攻撃に

戸惑うヨルム。


しかし、咄嗟に羅刹棍を縮

め引き戻した。そのまま


距離を取り離れる。