剱聖伝

軽く後ろに跳びずさり、剣

に印をなぞる。

   スラン
《 韋駄天 》


そう言葉が発っせられると

、セイランの身体が分裂


した。いや、したかに見え

た。


超高速移動術。


二人のセイランが敵を挟ん

だ形でまた印をなぞった。

  リスメント 
《双逢の矛》


高速の突きが、魔獣の前後

から突き刺さる!!


《………》


セイランの動きが止まる…

こめかみに汗が滲む。


《何処から…湧いて出た


のですか》


魔獣の前でセイランの剣を

受け止めた男にそう問い掛

けた。



《みすみす貰ったペットを

殺らせるわけにもいかん


のでね》


その男はセイランの斬撃を

眉一つ動かさずに止めて


いた。


《貴公の名は!?》


《ベルゼ国の剱聖…ヨルム

》そう言って笑った。


《まさか…ネグリスの天剱

聖が女とは…》


《不服ですか!?》


《……いや、女でも化け物

だな》受け止めていた剣が

ジワジワと押し返される。