剱聖伝

《……》


しかし、バーミリオンは


何も言わず遥か先の戦場に

目を向けたまま腕をくんで

いる。


それを確認したルシフォー

ルが嫌らしく口元を歪めた




《さてと…僕は新たなる生

けにえを調達してくるとし

よう。もっとも純粋で力を

持つ女性…居るはずなんだ

…欲しいなぁ…それでゲー

トを開けば凄い事になるよ

♪》恍惚な瞳を遠くに落と

す。


《ふふっ♪じゃぁ行ってく

るよ》そう言うとフワッと

消えてしまった。



《バーミリオン様…》


バーミリオンの後ろに控え

ている側近、シーリアが


何か言おうとするが、何を


言えばいいか解らず言葉に

詰まる。ルシフォールのあ

の目を見た…あれは……


とても危険なものだ。


それと去り際に目が合った

のだ…まるで体の中を見透

かすような嫌らしい目が網

膜に焼き付く。