《今はそのような言い争い

をしている場合ではありま

せん。歴史的戦争が始まろ

うしているのですよ》


《し…しかしだな…あのよ

うな侮辱を…》


深く椅子に腰掛け、純白の

ローブの上に、きらびやか

な肩掛けを羽織る女性が、

静かだが、力強い声で愚か

なる王をいさめた。


ネグリス国を統べる国王、

ジェリラ・ミト・ネグリス

齢45歳だが、どう見ても30

代前半とも見える若さを持

つ。小さい時に煩った病が

原因で、両目の視力を失う

が、森羅眼と言う特別な


力により物体を把握する


事が出来ると言う。


《ジェリラ殿の言うとおり

だ。今は皆、一丸となって

事にあたらねばならん》


トラバキア王、オルゲアス

の一言で二人の王も押し黙

る。


もともと隣国同士で仲が


悪い。



二人の国王が鎮まったのを

確認すると今後の作戦会議

が始まったのであった。