不安になり少年の口に手を

かざす。息が手に当たる。


《よかった…》


安堵のため息と共に


出た言葉だ。


この先どうしよう…


深く考えこむ。


ベルゼ軍はトラバキアに


戦争を仕掛けてきたのだ。

まずは手始めに辺境の


村から…。


この事を早く国王に知らせ

なければ、手遅れになる。

しかしどうやって……。


ここからトラバキア城まで

かなりある。


ベルゼ軍も動いている中、

はたしてたどり着けるか


どうか……。


《やるしかない》


使命と決意に満ちた表情


で立ち上がり、小さく


深呼吸をした。