剱聖伝

《何が…天剱聖だ…何も


変えれないまま…見守る事

しか出来ないのか》


このままでは…駄目なん


だ…こんなの間違ってる。

城の通路を歩くクロードは

己の無力さを痛感してい


た…。


緩やかに歩みながら城の


階下を見渡す…街が見える

…他の国にも街がある…


何も違わないのだ。


何も…。


クロードがふと歩みを止め

立ち止まる。なぜか


近くで話す兵士達の会話が

気になり耳をすました。


《あいつどうなったかなぁ

!?》一人の兵士が隣の兵士

に話しかける。


《あぁ…あの黒いちびっこ

いベルゼ野郎か!?》


《なんか気持ち悪い奴だっ

たなぁ…メギメギ言って》

《今ごろ審問局のお偉方が

取り調べてるだろうぜ》


《もう生きてないかもしれ

んがな》


《違いない》


そう言って笑いあって


いた。その二人の前に


立ち、静かに口を開く。



《その話し……詳しく聞か

せろ》突然現れたクロード

に驚いた兵士達は


、ただ首をカクカク縦てに

振り、生唾をゴクリと飲み

込んだのだった。