私はこの人が好きではない。
そしてこの女の連れ子である男のことも、同じように憎いと思っている。絶対に。
「食事なら二人で行ってきて。私、友達と約束しているから」
まるで恋人のように自分の息子の腕を掴む女に冷めた視線を向けた後で、私はこの心の乱れを沈めたくてキッチンに向かった。
「紫奈ちゃんがそう言うなら仕方ないわね。今日は二人で行きましょうか。智明さんのお知り合いの方のレストランがとても美味しくてね」
イライラする。その声を聞いているだけで、心も頭も壊れそうになる。
冷蔵庫から出した炭酸水をグラスに注ぐ。
音を立てて弾ける泡が消えていくのを見つめながら、落ち着けと言い聞かす。
二十歳になったら、この家を出る。
絶対に。絶対に。絶対に・・・。
「紫奈」
「・・・っ」
不意に呼ばれた名前に顔を上げる。それと同時に、手にしていた炭酸水のペットボトルが空になっていたことに気づく。グラスから溢れたそれが、シンクを濡らしている。
「何やってるの、お前」

