「やだ、やめて」 「やめない」 「澪っ」 引き寄せられた身体が硬直した。 怖かった。何が? 「好きだよ、紫奈」 そうやってまた、私は壊される。 ただ普通の幸福を味わいたいだけなのに。 澪は私にキスをした。 噛みついて、それから優しく包むようなキスをした。 嫌いだ。全部。 澪も澪を取り巻く世界も、私自身も。 澪はいつだって、兄の顔をして私を壊す。