【月島 颯汰】



ふわっと感じる陽の香りが余計に嬉しくさせる。



「あ。」

「ん?」


雪が頬におちて、反応する。
陽も一緒に見上げる。




「雪だ」

「陽と、ホワイト・クリスマスか」

「ねぇ、颯汰くん」

「ん?」

「鼻、真っ赤だよ」

「えへ?」


目を合わせればお互い歯を出して笑う。

可愛すぎる陽の頬をぷにっと軽くつまんだ。




「なにすんのよ」

「いや。可愛ーなぁって」

「もう、そういうのやめてよ」



ボスっと思いっきり俺の胸に顔を埋める。




「あ!お前!!」



男の叫び声でふたりしてビクッと離れる。




「げ、」

「そ、颯汰くん。知り合い?」

「ん。同じクラスの陸」




陸が、智たちと俺らに近づいてきた。




「ツッキー、俺らとパーティは?」

「いや、行くとは行ってない」

「女の子たち待ってんだぞ」



陸の言葉にタイミングよく智がスマホに映った女の子の写真をみせる。




「ごめん、お前らだけで行って」

「はぁ?この4人中2人はお前狙いなんだよ!」

「知らねぇよ」

「ツッキーいなきゃ帰っちゃう」

「あ”ぁ。俺、彼女いっから」



俺の少し後ろで身を縮めていた陽の手を握った。



「あ!体育祭の子」

「これから、ふたりで楽しく過ごすんだから、邪魔すんな」

「はぁ!?抜けがけかよ」

「ばぁーか。俺は、17年も陽を好きだったんだよ。もう邪魔するな」

「まじ?」

「じゃあな」



ごちゃごちゃ言うあいつらを置いてって陽の手をしっかり繋いでお店の裏口の前で止まった。