少し、

期待した。



もしかしたら、昔みたいに心配してくれて
追いかけて来てくれるかもって。






冷たい風が顔に痛く吹く。




「まぁーた。泣いてんの?」




颯汰くんのいたカフェから少し歩いてすぐの公園のベンチ。

今は、あなたに会いたくなかったな。





「和くん。」


「久しぶりに会ったと思えば、泣いてるって。あんた、本当に弱いんだね」


「泣いてないけど」


「ん。でも、泣くでしょ?俺が声掛けなかったらでってぇ泣いてたね。」


「なんで、ここにいるの」





私の質問に顔を濁らせて隣に腰をおろした。





「ここの近くにさ。元カノのバイト先があんの」


「え、、ストーっ」


「ちげぇよ。ただ、呼ばれただけ」


「呼ばれたって」


「、、、あんたには教えない」





別に知りたくもないけど。そんな悲しい顔されても。





「泣かないでよ?」


「は?俺が?」


「ん。私がいなかったら泣いてたよね。」


「なわけ。」


「そー?」


「その目、やめねぇと、またチューすんぞ」


「はっ」






慌てて両手で口をおさえれば、お腹をかかえて笑いだした。



「あっはは!お前っ、やっぱ変」


「う、うっさいなぁ」


「あー。俺さ、高1ん時。元カノに似てたってだけで、あんたに告白した。」


「っ、、へ、へぇ」


「でも、結構好きだわ。」


「そーですか」


「ん。ねぇ、マジになっていい?」


「なにが」


「マジに好きになっていい?」






嫌い。



だったけど、なぜか今、ドキッと胸が鳴った。


颯汰くんとはまた、別の音。






「ごめん、聞こえなかった」


「それ、なし」


「っ、、」


「そうやって逃げたら。チューするしかなくなっちゃうよ?」


「やめっ!」





あの時みたいに近づいてきた和くんの口を手でおさえた。

目が私を睨んでたけど、離したらと考えるとやめられなかった。






「かず?」




声がした方にお互いに目を向ければ、さっきカフェで見た”美咲”と呼ばれてた子が可愛らしく立っていた。




「あ、」

「美咲、」


和くんは彼女を見るとやっと力を抜いた。
そして、立ち上がり彼女の前に立った。



「彼女?」

「違う。」

「そっか」


ふたりの会話を堂々と盗み聞きしている感じになってしまう。

どうしようか。