教室に戻って黙って席に座る。






「どう、した?なんかあった?」





愛美の優しい言葉に、





「、、最低。」

「え?」

「あんな人。大っ嫌い」





少し八つ当たりして顔を机に伏せた。


まだ少し、胸がドキドキ跳ねていて、苦しく締め付けられているようだ。




腕に染み伝わってきた水が
もう、起こせないようにさせる。






「陽、大丈夫?」

「、、、ん」

「なんか、陽の目の前に、変な人いるよ」

「ん」

「めっちゃ、イケメン。」




何となく流した愛美の言葉。
これっぽっちも理解できない。




「俺、イケメンなんだ」




前から聞こえた声に出ていた涙が止まる。





「和くんってそんな顔してたっけ」

「愛美ちゃんは翔平一筋だから。」

「そう、だけど」

「俺は、月島と違って。目立つのが嫌いなんだよね」



あ。思い出した。




「だけど。陽ちゃんは、月島が好きみたいだね」




そっと上げた頭。潤む視界で目線の高さを合わせる和くんが冷たく笑ってた。




「そんなに、泣くこと?」

「だっ、、、て」



弱々しく情けない声。自分でも呆れた。



「なんで、月島なの」

「へ」

「好きって言われたから?」

「な、にが」

「まぁ、あいつ。バカが付くほど真っ直ぐだし。」





だるそうにしゃがんでいた体制を立つ体制に戻す和くん。

のしっと頭に和くんの手が乗っけられる。






「俺、高1ん時の告白の返事。まだ待ってんすけど。一応」

「告白っ!?!」






愛美が大袈裟に反応する。周りにいた子達も私と和くんを見てヒソヒソと話し出す。





_和くんってあんなカッコよかったっけ?

_中学の時は、カッコいいって有名だったよ?

_えぇ、もったいない


_告白ってなに

_水島さんって、何?






やめて。すごく、嫌だ。





「うっわ、その睨み顔は迷惑ってことか」

「、、、」

「つか、鼻水垂れてるよ」

「っ、ぅそっ、、」






手で隠そうとしたけど。
その手を何故か止められる。






「嘘。ジョーダン」

「な、、離してよ」

「俺、言葉より行動するタイプ」

「はぃ?」

「俺の事で悩んどけよ」

「何言っ、、!」




少し無理矢理に引き寄せられた腕。その反動で前に出た体。

そのまま近づいてきた和くんとぶつかった。




「うっ、そ」


愛美の声が静かに聞こえて、すぐに教室で甲高い声が響いた。


_きゃー!

_まじ?!




さっきの見せかけのキスじゃなくて、

本物のキスをされた。





和くんに。



「これで、月島と俺。おあいこ」

「ぇ、、」

「いや、月島避け完了。ざまぁ」



にひっと意地悪に笑って、満足げにどこかに消えていく。






本当に、頭が真っ白だ。