もう、こうなった以上諦めるしかない。

「本当に大丈夫ですか？」
下から心配そうに見上げてくるその人はなかなか可愛い顔立ちだった。


「あ、いえ、ただ会社遅刻だなって、…」

「どういう仕事をしていらっしゃるんですか？」

俺は財布から名刺を出す。


「へぇ……
警視庁捜査一課のにのみや…かず…や？さん」

「あ、いえ、かずなりって読むんです。」

「ふぇ、…それは失礼しました」


ふぇ…って。可愛いかよ////


「あなたは学生さん？？」

「あ、いえ、僕は中国からきた日本名で神埼　秋っていいます。」

「へぇ。神崎さん、今度一緒に食事でもしません？俺の奢りで。お詫びしますよ。」


「ほんとですか‼それは、是非ご一緒したいです。ではこれ、僕の番号なので、暇になったらかけてください。」

「わかりました…って、時間ヤバイんでいきますね。ではまた。失礼します‼」

「はい。ではまた‼」

そういって、ふにゃっと笑う神崎さんはやっぱり可愛いかった。


久しぶりにこんなに話したな。ここまで居心地がいいと思うのは久しぶりだった。


あれ、…そういえば勤め先聞いてないな…