それから開店の時間まで、私はメモを取りながら仕事内容についてレクチャーを受けた。
開店時間の二時になったので、表の準備中の札を引っ繰り返しに行く。
よくあるプラスチックの白い札をくるっと返して「営業中」にする。
せっかく可愛いお店なんだからこれももうちょっと可愛いものにしたらいいのにな。
木目調の札にするとか、せめてフォントだけでも毛筆風にしてみるとか。
さっきのメニューもクリアファイルに、ただお皿を真上から撮っただけっていう写真が並んでたし。
なんていうかここのお店って外観やメニューは素敵なのに、そういう細かいところが雑っていうか、愛想がないっていうか。
あの店長のキャラクターそのままと言えばそのままなんだろうけど、なんだかもったいない気がするな。
まあ、今日限りのバイトの私が口を出す筋合いのことでもないけど。
最初のお客さんは観光客らしい二人組の女性客だった。
「いらっしゃいませ」
黒の丸いトレーを胸の前に抱いて挨拶をする。
にこやかな笑顔もお辞儀の角度も、新人研修時代に「鬼の接遇講師」と呼ばれていた先輩の女性社員にビシバシ鍛えられたものなので自信がある。
スマホの地図アプリを頼りに辿りついたらしい彼女たちは、おずおずとした様子で私が案内した席についた。
町家風の外観も、藍色の大きな暖簾も見た目はシックでお洒落だけど、ちょっと敷居が高く感じてしまうところはあるかもしれない。
観光客の人なら特に。
もうちょっと店内の様子が外からも見えるようにしたら少しは入りやすいかもしれないな。
まあ、それも私がどうこう言う話じゃないけど。
女性二人はメニューを開いてしばらく相談した末に、一人は抹茶プリン、もう一人は水羊羹のセットをオーダーしてくれた。
セットのドリンクは、定番のコーヒー、紅茶のアイスとホット、抹茶、ほうじ茶、アイスグリーンティーの他にも抹茶ラテやほうじ茶ラテなどかなりの種類が揃っている。
選ぶ側にとっては嬉しいけれど、用意する方にとっては大変だろう。
カウンター越しにオーダーを通すと、「了解!」と元気な返事がかえってきて、てきぱきと動き始める奏輔さんが見えた。
10分も経たないうちに、ほぼ同時に二つのオーダーが出来上がって来る。
さすがに一人でこれだけのメニューを出しているだけあってものすごく手際がいい。
開店時間の二時になったので、表の準備中の札を引っ繰り返しに行く。
よくあるプラスチックの白い札をくるっと返して「営業中」にする。
せっかく可愛いお店なんだからこれももうちょっと可愛いものにしたらいいのにな。
木目調の札にするとか、せめてフォントだけでも毛筆風にしてみるとか。
さっきのメニューもクリアファイルに、ただお皿を真上から撮っただけっていう写真が並んでたし。
なんていうかここのお店って外観やメニューは素敵なのに、そういう細かいところが雑っていうか、愛想がないっていうか。
あの店長のキャラクターそのままと言えばそのままなんだろうけど、なんだかもったいない気がするな。
まあ、今日限りのバイトの私が口を出す筋合いのことでもないけど。
最初のお客さんは観光客らしい二人組の女性客だった。
「いらっしゃいませ」
黒の丸いトレーを胸の前に抱いて挨拶をする。
にこやかな笑顔もお辞儀の角度も、新人研修時代に「鬼の接遇講師」と呼ばれていた先輩の女性社員にビシバシ鍛えられたものなので自信がある。
スマホの地図アプリを頼りに辿りついたらしい彼女たちは、おずおずとした様子で私が案内した席についた。
町家風の外観も、藍色の大きな暖簾も見た目はシックでお洒落だけど、ちょっと敷居が高く感じてしまうところはあるかもしれない。
観光客の人なら特に。
もうちょっと店内の様子が外からも見えるようにしたら少しは入りやすいかもしれないな。
まあ、それも私がどうこう言う話じゃないけど。
女性二人はメニューを開いてしばらく相談した末に、一人は抹茶プリン、もう一人は水羊羹のセットをオーダーしてくれた。
セットのドリンクは、定番のコーヒー、紅茶のアイスとホット、抹茶、ほうじ茶、アイスグリーンティーの他にも抹茶ラテやほうじ茶ラテなどかなりの種類が揃っている。
選ぶ側にとっては嬉しいけれど、用意する方にとっては大変だろう。
カウンター越しにオーダーを通すと、「了解!」と元気な返事がかえってきて、てきぱきと動き始める奏輔さんが見えた。
10分も経たないうちに、ほぼ同時に二つのオーダーが出来上がって来る。
さすがに一人でこれだけのメニューを出しているだけあってものすごく手際がいい。
