祖母が沢野さんのパート先に事情を説明しに行くというので、その日はそのままお開きとなった。
皆を見送ったあとで、祖母がくるりとこちらをふり返った。
「さ、あんたも行くで」
「え?」
「聞いてたやろ。奏ちゃんとこに今日沢野さん来られんようになったって伝えにいかな」
「聞いてたけど何で私まで……」
「いいから。どうせ帰ったってお母ちゃんにあれこれ叱られてばっかりおるんやろ。それよりかマシや。ついといで」
それはその通りなんだけど……。
奈江ちゃんを母に預けている沙代里ちゃんは遅くなれないというので、私は不承不承、祖母のあとについて家を出た。
「どこまで行くの?」
「すぐそこや。角曲がったらほら、もうそこに見えるやろ」
祖母が指さす先にそのお店はあった。
祖母の家の茶舗と同様の町家風の住居を改装したと思われる店舗で、黒い格子のはまった入口の戸の横には綺麗な青紫の布看板に、白い字で「あじさい茶屋」と染め抜かれてあった。
看板の下の方にはピンクと水色の紫陽花の絵が描かれている。
葉の上にちょこんと載っているカタツムリと蛙の絵が可愛い。
近くまで行くと、黒板風の立て看板にメニューが書かれているのが見えた。
「本日のセット 水ようかん 葛餅(ドリンク付き)」
「黒蜜きなこプリン」
「柑橘寒天(柚子・檸檬・甘夏・夏蜜柑)」
「抹茶のシフォンケーキ」
「季節の羊羹(七月) 土用羊羹」
そんな文字が並んでいる。
いわゆる「和カフェ」……というお店だろうか。
皆を見送ったあとで、祖母がくるりとこちらをふり返った。
「さ、あんたも行くで」
「え?」
「聞いてたやろ。奏ちゃんとこに今日沢野さん来られんようになったって伝えにいかな」
「聞いてたけど何で私まで……」
「いいから。どうせ帰ったってお母ちゃんにあれこれ叱られてばっかりおるんやろ。それよりかマシや。ついといで」
それはその通りなんだけど……。
奈江ちゃんを母に預けている沙代里ちゃんは遅くなれないというので、私は不承不承、祖母のあとについて家を出た。
「どこまで行くの?」
「すぐそこや。角曲がったらほら、もうそこに見えるやろ」
祖母が指さす先にそのお店はあった。
祖母の家の茶舗と同様の町家風の住居を改装したと思われる店舗で、黒い格子のはまった入口の戸の横には綺麗な青紫の布看板に、白い字で「あじさい茶屋」と染め抜かれてあった。
看板の下の方にはピンクと水色の紫陽花の絵が描かれている。
葉の上にちょこんと載っているカタツムリと蛙の絵が可愛い。
近くまで行くと、黒板風の立て看板にメニューが書かれているのが見えた。
「本日のセット 水ようかん 葛餅(ドリンク付き)」
「黒蜜きなこプリン」
「柑橘寒天(柚子・檸檬・甘夏・夏蜜柑)」
「抹茶のシフォンケーキ」
「季節の羊羹(七月) 土用羊羹」
そんな文字が並んでいる。
いわゆる「和カフェ」……というお店だろうか。
