私は申し訳なくなりながらも照れてしまって、頬に熱を帯びるのがわかる。

「だから、何も心配しなくていい。俺についてこいよ。」

握っていた私の手を放したかと思うと、坪内さんは両手を広げた。
胸に飛び込んでこいと言わんばかりの、自信に満ち溢れた顔。
私は恐る恐る近付く。
坪内さんは私が伸ばした手をつかむと、一気に引寄せて抱きしめた。

「日菜子、好きだよ。」
「私もっ。」

そのまま押し倒されて抱かれるのかと思ったのに、私のお腹がぐううっと鳴り響いた。
察しろ、私のお腹。

「食い気の秋山だったな。」

坪内さんがお腹を抱えて笑う。

「ご飯食べたら一緒にお風呂に入ろうな。」
「えっ、ええっ。」

私の反応を楽しむかのように、坪内さんはいたずらっぽく笑った。