私、朝原 陽は、小説倶楽部に所属している。



小説倶楽部は不思議な倶楽部だ。


小説倶楽部は、入会時に契約書に記した本を、3年間かけて研究しなければならない。



上限は、3冊。



3冊の場合は1年に1冊、

2冊の場合は1年6ヶ月に1冊、

1冊の場合は3年かけて、
その本の研究記録を作成する。


その研究記録は期日の夕方4時までに、A 4サイズの用紙にまとめ、図書室前の倶楽部ポストに提出する。


提出したものは、副長が名簿にチェックして、学校のどこかにある倶楽部室に保管する。


副長以外の人間は、倶楽部メンバーを1人として知らない。


副長は倶楽部の窓口であり、唯一認識可能な倶楽部メンバー。


そんな副長でさえ、研究記録の閲覧権はなかった。



それがあるのは倶楽部長、ただ1人だった。