バレンタインデー。

「……ほんとに、李和?」


「いや、今更李帆とか無理あるでしょ」


びっくりしすぎて言葉が出ない俺に李和が説明し始めた。


「1日李帆と入れ替わってたの。李帆の髪型に似たカツラ着けて、声も真似して低くして。」


1日入れ替わってたのにはびっくりした。


全然気がつかなかった。


「……聞きたいこと、あるんだけど。」


「ん?なに?」


やっとでた声でどうしても気になることを聞いた。


「2ヶ月くらい連絡一切なかったのって、俺のこと飽きたから?競技するためには俺が邪魔だった?」


すげー情けないと自分でも思う。



それでも、聞き始めたら止まらなかった。



「あと、なんでわざわざ入れ替わってた?もし、俺に会いに来てくれるためだったとしたら……別れ話?」


これで、そうだ、と言われたら俺はどう反応していいか分からない。


でも、聞いてしまった。


恐る恐る李和を見ると、苦笑いしていた。


「あー…。そこまで思わせてたか、ごめん。」


李和を見つめて、次の言葉を待った。


「まず、連絡できなかったこと、ごめん。
今回帰るために、今日から1週間分の練習メニュー2ヶ月前から詰めてやってたから寮帰って即寝すること多くて。言い訳かもしれないけど、ほんとにごめん。」


李和の練習メニュー1日分がどれくらいハードか俺は知っている。


それを2ヶ月前からとはいえ、詰めてやったなら李和への負担は相当だったはず。


連絡できなくて当たり前だ。



「じゃあなんでそこまでして今日帰ってきた?」



「それはね……」



李和の言葉が途切れたと思ったら、李和が紙袋を突き出してきた。


「これっ!!……渡すために。ちゃんと今日、渡したかったの。」


受け取って中身を見てみると、綺麗にラッピングされたチョコレートだった。


「これ、バレンタインの?」


そう聞くと、李和は恥ずかしそうに笑いながら頷いてくれた。


「何年も渡せてなかったけど、毎年渡したいって思ってた。バレンタインもそうだけど、今日は4年記念日だから。」



どうしよう。



超絶嬉しい。



好きなのが自分だけじゃないってこんなに嬉しいんだ。



「あのね、こんな私だけど、一緒にいてくれて、支えてくれて、ほんとにありがとう。これからもよろしくね」


もうダメだ俺。


すげー情けない。


ここまで彼女に言わせといて、泣きそうになるとか。


言わなきゃ、俺の気持ち。


「こちらこそ、これからもよろしく。李和、俺、李和のことめちゃめちゃ好きだ。」


最後の方は恥ずかしくて声がちっちゃくなってしまった。


李和は俺の大好きな笑顔で笑ってくれた。