「んなわけあるか!」


懐かしい声が後ろからした気がした。


「李和……!?……李帆か」


振り返って見ると李和ではなく、李帆だった。


李和と李帆は、顔は似ているものの声は少し違って、李和の方が少し高い。


今まで声で2人を間違えたことはないのに。


「ごめんな李帆。声で李帆と李和を間違えるとか結構俺やばいかも(笑)」


「間違ってないよ。」


「は?」


いや、おかしい、間違ってない?


だって、目の前で俯いているのは、俺と同じ高校の制服を着ている、長い黒髪の李帆だ。


そもそも高校は同じじゃないし、テレビで見る限り李和はショートカットで、塩素の影響で髪は茶色っぽかった。


「李帆、冗談はやめろって」


「冗談じゃないってば。」


そう言って李帆は髪の毛をつかんで、


床に落とした。


そこに居たのは茶髪でショートカットで、昔よりも少し大人びた李和だった。