クリスマスの朝を向かえた。
　


　通勤の道のりは、みんながなんだかそわそわして幸せそうで、いつもと違う感じに見えて、私は朝から、１人寂しさを身に沁みながら会社に出勤した。



　そして会社でもみんな早く終業時間にならないかそわそわしている感じを受けながら仕事をしていた。



　私はピンッと糸を張っていないと涙がでそうな心理状態の中、一日を過ごした。
　


　仕事を終え帰りの支度をして、私は同期に食事に誘われていたことも忘れ帰ろうとしたときだった、
　

　　　「昨日急いでお店予約したんだ。


　　　　クリスマスだから何処もいっぱいだと思ったんだけど、たまたまキャンセルが出たらしくって予約できたんだ。


　　　　お腹空いたし、早く行こう。」


　　　　　　　　　　と同期は笑顔で話しかけてきた。
　


　私は、その笑顔と彼から伝わってくるワクワク感に、断るタイミングを失い、一緒に食事に行く事にした。
　


　この時、私は食事をすることを断らなくて良かったと今では思う。
　


　彼は、私の様子がいつもと違うことを感じていながらも、その理由を聞くことはなかった。



　それどころか、気を紛らわそうとして一生懸命、話をしてくれた。



　私はそのおかげで、気持ちが少し楽になった。



　クリスマスを暗い部屋で過ごさなくてよかった。



　誰かと過ごす事がこんなに救われるとは思わなかった。
　


　そして私達は、クリスマス以降も食事をしたり、ドライブをしたり映画を観たりと、休日も一緒に過ごす時間が増え、付き合うようになり、一年後のクリスマスに籍を入れた。
　


　初めは、好きでも嫌いでもなかった彼だが、どんどんお互いを知っていくうちに、私は彼と一緒にいる事が心地よく、彼の暖かい存在に惹かれていったのだ。