返事を聞いた彼は、感情を素直に出し、下を向いている私を、強く抱きしめた。



 抱きしめられて伝わってくる、彼のぬくもりがとても暖かくて気持ちのいいものだった。
 


 どのくらいの時間、抱きしめあっていたのかわからないが、人の気配を感じて彼は、



   「今日はここまでで我慢しないとね。」


         とボソッと言って、


   「じゃぁ、また。」


         と家に向かって歩いていった。
 


 私は彼の、


   「我慢しないとね。」


         とつぶやいているのが、愛おしく感じた。
 


 私の家から、彼の家まで歩いて一時間はかからなかったと彼からのその晩にメールが入り、いろいろ考えて歩くのには丁度いい距離だよとも書いてあった。



 いろいろ考えるって何だろうと思ったけれど、そんな疑問も忘れてしまうくらいうれしい一言がメールの最後に書いてあった。
 


   「愛してるよ。これから2人で幸せになろうね。」と・・・
 


 余韻を残しながら私もすぐ近くの部屋に帰った。



 今日もまた、余韻で、どうやって寝たのか、次の日の朝、記憶がハッキリしなかった。
 


 私は彼にどんどんはまっていったのだ。