「唯ちゃんの報告を聞いて………その後急に………
『海晴に着替えろ』って言われて…………
よく分からない間に…………合コンに連れて行かれたの。
学生以来の………賑やかな環境に、戸惑ってたら…………
次々、男の人が近づいてきて………。
困って海晴を見たら………笑いながら……『今日、この子失恋したから!』って…
その場が、変な空気で盛り上がっちゃって………………
怖くて帰ってきたの。
帰る時……海晴に声をかけたら……
『自分に正直にならないといけないのは、彩だよ!!』って……怒られて………。
気づいたら………洋ちゃんに会いたくなって…………
コンビニで……………チョコを買ったの。………………。
『偉かったね』って……褒めてよう。…………帰るまで……泣かなかったんだよ……。」

そう言って………目を瞑ったまま………再び涙をこぼし始めた。

あぁ~、偉かったよ。

よく頑張ったね。

自分の気持ちを殺してまで……大切な人を思うなんて………

オレには出来ないよ。

馬鹿がつくほどの………お人好し。

そんな君が…………可愛くて仕方がないよ。

オレの言葉を聞きながら………安心した表情で………眠り始めた。

スースーと寝息が聞こえた頃………

唇に………人指しゆびをのせてみた。

『オレの側で…………こんなに穏やかになれるのなら………
遠慮しないよ。』

ニッコリ笑って、頭をひと撫でして…………

帰ることにした。

『鍵は、明日の朝………取りにおいで。……………覚えてたらね!』