「洋ちゃん、やだ~!!」

暴れる彩ちゃんをしっかりおんぶして……………自宅に送る。

本当…………オレが紳士なことに………感謝するんだよ。

……………と、心の中で話しかける。

もしもここでオレが男の顔を見せたら………………。

明日、彩ちゃんは……………泣くんだろうなぁ~。

想像すると、可笑しくなる。

「はい、お嬢ちゃん………着きましたよ。」

背中から下ろしても……………起きる気配がない。

仕方なく…………

「鍵を借りるよ。」と断ってから、カバンから鍵を取り出す。

今度は担ぎ上げて、寝室のベットに寝かせた。

入居してから、初めて訪れた彩ちゃんのお城。

一緒に作った棚には…………5人の後ろを、偶然通る悠の写真が飾られていた。

可愛いなぁ。

女の子らしい一面に、笑みがもれる。

思わず頭を撫でると

眠ってたはずの彩ちゃんが、パチッと目を開けて………

「洋ちゃん、ここにいて。」って……。

その潤ませた目で見つめるのは…………………反則だよ。

オレの理性を、総動員させて………お兄ちゃんの顔を保った。

「はいはい。グッスリ寝るまで、ついててあげるから………
ゆっくり寝なさい。」

オレの言葉に安心したのか……目を閉じる。

「今日ね………………唯ちゃん、先生にチョコをあげたの。」

ほぅ!あの唯ちゃんが……告白??

「先生に頼まれた………マグカップにつけたって………。
でも………『好きだとは伝えない』って言い出して………。
義理にしょうってしてたから……『自分の気持ちに正直になれ!』って……
言っちゃったの。」

彩ちゃんのそういうところ………オレは好きだけどなぁ~

悠にも伝われば………また違う結末だったのかなぁ~。

こっそり飾る、フォトスタンドの悠と…………

唯ちゃんに、はっぱをかける彩ちゃん……………。

その危うさが………愛しいんだけどね。