手をつなごう

「そう、大変なの。
あっ、ごめん。今だけ愚痴らせてね。」

彩ちゃんにそう謝って………

「問題児が二人いるんだけど…………。
一人は、学生気分が抜けない……まぁ、よくいるタイプ。
指導したら、時間はかかるけど……どうにかなるはず。
明るいし、元気だから……この仕事に向いてると思う。
……………………ただ…………もう一人は……お手上げ。
唯先生って言うんだけど………どう扱っていいかすら分からない。
元々、かなり本気で………先生になりたかったみたいなんだけど……
ボランティアから始まって、託児所で働いたりと………経験も豊富。
確かに、子供の相手も上手いんだけど……
極度の緊張から、失敗の連続。
怒ると萎縮するし、泣きそうになるから……注意も出来ないの。
とにかくオレが怖いみたいで…………　」

これは相当弱ってるな。

このタイプの女の子と接したことがないんだろう。

「そりゃ～、今の悠の顔だと怖がるよ。」

「えっ。」

自覚なしなのか？？

「ねぇ～。彩ちゃん！悠の顔………怖いよね？」

急に振られて困りながらも……

「怖いっていうか………ピリピリした感じは伝わってきます。
唯先生………男の人が苦手みたいだから……。
もしかしたら………先生にっていうより、男の人がいきなり
大きな声を出したりって言うのは……。」

彩ちゃんの言葉に

「あぁ！！そういうことかぁ～！
言われたら、そうかも。
彩先生！！ありがとう。これで指導が出来るよ。」

「後、生意気なんですけど………良いですか？
教えて頂いてて……申し訳ないですけど……
唯先生には、指導だと……強すぎるのかなぁって。
ホンの２週間くらいだから……はっきりと分からないですけど。
唯先生って、ずっと女子校じゃないですか？
他の子と同じ言葉使いだと……それだけで怖く感じるのかも。」

彩ちゃんって……凄いなぁ～。

自分がいっぱいのはずなのに、周りがちゃんと見えてる。

「…………確かに。
うん。分かった………って彩先生に教えてもらってるようじゃ……ダメだな。
でも、ありがとう！助かった。」

来たときよりも、明るい顔になったから……

悠は大丈夫かな？

彩ちゃんは……。

うん？？さっきより、元気がない？

まぁ、明日が先生のスタートだもんな。

緊張して当たり前かぁ。