憧れの彼と、イイ仲になりたいんです！

理香子はシングルマザーで女の子が一人いる。
子供の父親とは出産する前に別れて、今は実家に身を寄せ、ご両親と一緒に同居している。


「おじいちゃん達にも一緒に行こうって誘うよ。孫に何か買ってやってと言えば、ホイホイ言って付いて来るから心配無用」


それよりも頑張れとハッパをかけてくる。
私は不安を覚えながらも後押してくれる理香子の存在に、どうにも頭が上がらなくて。


「…うん…頑張る」


こうして何度、理香子に支えられてきたか分からない。

中学時代から高校までずっと一緒で、後ろ向きで臆病で消極的な私の気持ちに寄り添ってきてくれた理香子。

何があっても自分は杏の味方だと言って、ずっと励まし続けてきてくれた。


「あの浴衣着るでしょ？あれ杏にお似合いだから自信持っていいよ」


初夏に入る前、一緒にウィンドーショッピングをした時に買った物のことを言う。

それを着た時のことを思い出し、私は「ん…」と小さな声を出して頷いた。


「花火大会から帰ったら報告！忘れないでね」