憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!

手でも繋いで露店回りなさいよ、と囃され、私は動揺しまくって「手ぇ〜!?」と声を張り上げた。


「手以外にも繋いだりして。例えばキスとか」

「もうっ、理香子、やめて!」


流石に恥ずかしさがピークに達して止めてしまう。

親友の内田 理香子(うちだ りかこ)はケラケラと笑い、「冗談!」と言いながら謝った。


「ごめんごめん。私、嬉しいんだよ。ようやく杏が恋に目覚めて」

「えっ」

「それって恋でしょ。好きなんでしょ、その人のことが」

「わ、私が坂巻さんのことを!?」

「その人坂巻さんて言うんだ。前から何度か聞かされたことがある仕事のデキる営業マンだよね」

「そう」

「杏がいつも憧れている人で、女子の人気も高い人」


そう言われて胸がズキッと痛みだす。
理香子にあの頃と同じだね、と何度か言われてたのを思い出した。


「絶対に相手になんかされないと言ってたのに、何よ、この急展開」

「ご、ごめん。でも、私…」

「謝んなくてもいいから。楽しんでおいでよ、花火大会」

「だけど、理香子」

「こっちはご心配なく。杏がいなくても私は子供と一緒に行くから平気」