大勢の人達が集まる場所へ、私を迎えに来て連れて行くと言った。


(いいの!?)


私でいいの!?と自分の胸に問いかける。
坂巻さんがどうしてこんなに何度も誘うのかが謎すぎて、不思議で仕様がないんだけど……。



「…ミントチョコある?」


背後から聞こえる声に振り返る。
背の高い坂巻さんは、真っ直ぐと私の方へと寄って来る。


「…あ、あるね。これをコテコテのソーズ物の後に食べると更に旨いんだよな」


買おう、と手にするミントチョコアイスの袋。

ペパーミントグリーンとチョコレート色の二色が印刷されているのを見て、私は胸が大いに高鳴った。


「私に買わせて下さい!」


自分の分と彼の分を手にしてレジに向かう。

彼はそんな私を後ろから苦笑し、その堪える笑い声に心臓の音が加速していく。



(私…)


レジに並んで会計を待つ間に思った。


(このアイスクリームが売ってある間だけでもいいから、坂巻さんと二人だけでいる時間が欲しい……)


人気者で憧れの人と二人だけなんて烏滸がましいとは思うけど、どうか。

夏だけでもいいから、彼と一緒に居させて……。