(何だか苦い味のする夕食だったな…)


坂巻さんと二人でお店を出てから思った。

お好み焼きは美味しかったんだけど、あの後は彼とは話しにくくて、結局辿々しい会話しか出来なかった。


(あーあ、本当に最初で最後のチャンスだったのに)


髪の毛を捻りながら自分の後ろ向きな性格を呪う。

これがまた一つのトラウマになって、私の中に残っていくんだろうな、きっと。


ショボン…と肩を項垂れる。
彼には聞こえないように小さな溜息をこぼし、仕方ないか…と諦めた。


前を見ると、坂巻さんも静かだった。
彼にも変に気を遣わせたな…と感じてしまい、ますます気分が滅入ってくる。



「…ねぇ、諸住さん」


振り向き様に声をかけられギクッとした。
彼を見上げると微笑んでいて、私にはその理由がサッパリ不明で……。


「俺、君を誘いたいんだけど」


ちらっと目配せする方向に何があるのか。

彼の視線を辿って目線を向けると、「あ…」と小さな声が漏れた。


「これ一緒に行ってみないか?明後日だから急だけど」


コンビニのウィンドーに飾られたポスターを指差してる。