「私は課長に誉められたことが嬉しかったんじゃなくて、誉められたのも坂巻さんが一緒に手伝ってくれたからだとお礼が言いたくて。

だって、あんなに効率的に仕事が終わったのも坂巻さんが居てくれたからで、私一人だと迷ってしまって、下手をすると午前様にもなってたかもしれないから。

だから、本当に有難くて。上司に誉められた手柄を一人のものにしたくないな、と感じて……」


話しながら、何だか感情が高ぶってきたみたい。
泣かなくてもいいのに目頭に涙が滲んで、声がくぐもってしまった。



「…そうだったんだ…」


反省するような声が聞こえ、慌てて彼の腕に指をかけた。


「今の、気にしないで下さい。私が臆病で口に出来なかったのがいけないんだから」


もう言えたからいいです…と言うと、坂巻さんは申し訳なさそうな顔を見せる。

それを見てると胸の奥がぎゅっと痛くて__。


「食べましょう、坂巻さん!お好み焼きが焦げますよ!」


わざと元気そうに取り繕って笑った。

彼は納得いかない感じでいたけど、「うん…」と声を返すと、お好み焼きの続きを食べ始めた。