「お疲れ様、諸住さん」


通り過ぎて行く際に声をかけられて顔を見た。
ストライプのワイシャツに身を包む坂巻さんは笑顔で、私と目が合うと軽くウインクしていった。



(うそ…)


本当に誘われた。

でも、どうして!?
何故、私!?


見当もつかずにぼうっとする。
呆気に取られていた所為で、彼に挨拶するのをすっかり忘れてしまってた。