憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!

「これからも頑張ればいいよ。君の頑張りを見ている人はいるから」


自分だけじゃないという様な言い方をする。
それはそうかもしれないけど、私が言って欲しいのはそういうセリフじゃなくて__。



「そ……ですね…」


気落ちして肩を落とした。

やはり自分は何処か烏滸がましかったのかもしれない。
憧れの人と残業をして、一緒に食事して同じアイスを食べ、慢心に満ちていたのかも……。



「すみません」


忙しいのに話しかけて…のつもりで謝った。
坂巻さんは一瞬だけ目を見開き、私はその顔を見たけど直ぐに目線を逸らせた。


「失礼します」


彼の背中側にあるドアノブに手を伸ばす。
咄嗟に彼が避けた隙にドアを開け、するっと隙間から出て行った。


(私はやっぱり…)


そう思いだすと涙が溢れそう。
だけど今は考えるな、と自分を宥め、営業二課に向いて走った。