「また明日な。気をつけて帰って」


電車が来るよ、と指を差されてハッとした。
お辞儀をして彼から離れ、走ってホームへと駆け下りる。


（いいのかな。坂巻さんと連絡先なんて交換して）


こんなことをしても大丈夫だろうか。
誰かに知られて、またあの時みたいにならない？


（私みたいなのが彼と一緒に食事したりとか、誰かにバレたりしたらどうなるか……）


人気者の彼に誘ってもらいたい女子は大勢いる。なのに、こんな自分とまた会って話そうと言ってくれるなんて。


（いいの？でも、どうして私と？）


そう思うと不安というよりも恐怖でぎゅっと自分を抱く。
電車に乗っても誰かに見られてる様な気がして、体を小さく竦ませながら、窓の外だけをずっと眺め続けていた＿＿＿。